意匠設計者に必要な「〇〇力」12選【現役設計者が解説】

stone
セン先生

実は、建築家になるには「設計力」以外も必要なんだ。
社会に出るとそのことを強く実感するよ。

タテル

設計課題を頑張って設計ができるようになるだけじゃダメなの…?

セン先生

まあ紹介することの多くは設計課題をしていれば、それなりに身につくことなんだけど、この記事を読んで意識していると、効果的に鍛えることができるよ。

タテル

なるほど!まだ先の話だけど、今読んでおいた方が良いってことだね!

セン先生

うん!社会に出る頃には大きなアドバンテージになっているよ。

もちろんいわゆる設計力が重要というのは正しい認識ですが、実際にはそれ以外にも多くの能力を要求されます。
正直、設計力だけでは建物は成立しません。

今回紹介する〇〇力を持たないと、設計者として大きなディスアドバンテージを背負うことになります。

それでは、意匠設計者に必要な「〇〇力」12選を紹介します。

これまでの記事やinstagramの設計力を上げる方法の総まとめ記事です。体系的に学べます。

進路を迷っている建築学生必読。徹底的に組織設計事務所について解説!

1000冊以上読んだ私がつくりました。ここから選べば間違いありません。

課題中盤~後半に活用すれば評価アップ間違いなし。

当記事の内容

『アイディア力』は設計課題でも、コンペでも、実務でも、あらゆる場面で意匠設計者に求められる能力の筆頭です。

例えば次のタイミングで活躍します。

常識に囚われず、柔軟な思考で次々にアイディアを生み出す能力は、魅力的な建築を実現するための必須能力です。

自信がない…。という方に向けて、『アイディア力』が身に付く効果的な2冊を紹介します。

セン先生

千円前後で『アイディア力』が身に付くなんて…。
読まない人は本当に損をしているよ!

マキ

本の値段の何十倍もの価値がありますよね。

アマゾン選定、
これだけは読んでおきたい
オールタイムベスト
ビジネス書100入り!


1940年から
世界中の人々を魅了し続ける
不変の法則。不朽の名著。

Amazon.co.jpより

 ▼

ひらめきにはコツがある。
仕事の現場に即した、
アイデアを生み出すための「ハウツー」を
分かりやすく、順序立てて解説。

ふんだんに盛り込まれたエピソードに
思わず噴出したりうなずいたりするうちに、
アイデア作りの世界へと引きこまれること
間違いなし!

Amazon.co.jpより

 ▼

タテル

やば、まだ読んでないや…。すぐ読ないと。

「空間」は、スケール・プロポーション・色彩・マテリアル…、その他多くの要因で成立しています。

建築家はそれら全てに敏感じゃないといけません。

シェフでいう味覚、作曲家でいう音感、それに対応するのが建築家でいう「空間把握力」です。

「空間」という単語は非常に抽象的なので、言語化が難しいものです。
言い換えると「雰囲気」とか「空気感」とかが近いかも知れません。

建築家で空間の感覚が乏しいというのはかなり致命的なことです。

セン先生

次の本が「空間」を捉える手助けとなるよ。
というかこの本は物凄く良い本だから建築学生全員に読んでもらいたいな。

マキ

私は聖書のように、常に目の届く机の上に置いています。

タテル

著者のピーター・ズントー(ペーター・ツムトア)は、現代の建築家で世界一だって言う人が多いよね!

セン先生

同じ著者のこの本も絶対読んでおくべきだよ。

マキ

「空間」と対をなすと言っていいのが「造形」ですよね。

セン先生

その通り!「空間」がヴォイド(空洞)を指すのに対して「造形」は物質そのものの部分を指しているよ。

マキ

建築はリアルな物質で、質量があるものである以上、必ず造形を伴いますよね。

セン先生

うん、彫刻的に形状を生み出す能力、またそれを成り立たせるための構造感覚が建築家には必要なんだ。

建築界の流れとしては、造形を積極的に押し出すことを避ける傾向がありますが、やはり美しい造形を生み出す能力は建築家に必要だと考えています。

設計課題の評価にしても、あまり言葉にはしないかもしれませんが、当たり前に造形の審美性は評価に大きく影響しています。

➡︎ 設計課題の3つの評価軸はこちら

セン先生

多くの要素を処理し、一つの形に収斂していく。それには論理的思考力が必須だよ。

マキ

直感や感情だけではなく、筋道立てて論理的に思考する必要がありますよね。

セン先生

設計課題でもそうだけど、特に実務ではこの能力の必要性が大きくなるよ。

「建築は感性と理性の高次元での統合である。」というのは槇文彦さんの言葉ですが(ちょっと違っていたらすみません。)、「理性」にあたるのが「論理的思考力」です。

「論理的思考力」とは「客観性」でもあります。

例えば、
自分で捻り出したコンセプトが正しいか?
自分の設計内容は間違っていないか?
それを客観的に判断するのも「論理的思考力」です。

「論理的思考力」を確実に鍛えるには読書が一番です。
そのときの自分が少しだけ難しいと感じる難易度の本をたくさん読むことで能力が向上します。

➡︎ 難易度を5段階で記載した建築本100冊リストはこちら

セン先生

貪欲に、これでもかっていうくらい計画を探求していく力だね。

タテル

最後までこだわり抜く力だね!

セン先生

こだわり抜かれたものには、心が動かされるよね。職人のように「自分を納得させるのが一番難しい」という人が建築家に向いていると思うよ。

マキ

設計課題にしても、突き詰めて考えられたものかパッと見で分かる気がします。

セン先生

不思議なもので、並んだ設計課題をざっと流し見しただけで、どの案が優秀賞をとるか高確率で当てることができるよ。

タテル

わかる人には一瞬で伝わるんだね。

突き詰められて考えられたものは、第一印象から別格の雰囲気を纏っています。
それは瞬間的に伝わるもののように思います。

大きな模型で検討したり、ものすごく細部の図面を考えたり…。
労力が掛かりますが必要なことです。

➡︎ エスキスの進め方やコツはこちら

マキ

コンセプト作成能力表現力がこの項目に当てはまりますよね。

セン先生

いかに自分の設計の良さを人に伝えるか?」この能力が欠けていて、損をしている人を何回も見ているよ。

タテル

正直、初めての課題のプレゼンテーションは大失敗だったよね。審査員に自分の伝えたいことが伝わらないし、質問への受け答えも全然的外れだった…。

セン先生

初めはほとんどの人がそうだと思うよ。「プレゼンテーション」を勉強するには次の本がお勧めだよ。本質的かつすごく分かりやすい本だよ。

世界的ベストセラー「プレゼンテーションZen」の改訂3版。
今改訂でも、著者ガー・レイノルズ氏による「プレゼンテーションZen」の基本原則「抑制」「シンプル」「自然さ」はそのままに、TEDx等でのプレゼンサンプルも写真・スライドともに多く引用し、最新情報で内容をアップデート。また、スティーブ・ジョブズに学ぶ教訓やライブエイドでのクイーンのライブに学ぶプレゼンコラムなど、「伝わる」プレゼンのためのヒントも満載。

Amazon.co.jpより

この本を読んで以降、ガラッと私のプレゼンは変わりました。
設計課題で成果を残すことに大きく貢献してくれた本です。

実務となると、多くの関係者とコミュニケーションをとることになります。

意匠/構造/設備/施工者/メーカー/クライアント…

セン先生

意匠設計者の大きな役割の一つは、この人々の「まとめ役」だよ。

タテル

リーダーみたいだね!

セン先生

信じられないかもしれないけど、大規模プロジェクトになると関係者が50~100人になることもあるよ。

タテル

ええ、そんなに多いの??なんだか心配だな…。

セン先生

年齢も役割もバラバラな人々の間に立って、皆が向かうべき方向を示しながら、まとめていく必要があるよ。たとえその場で最年少だって関係ないんだ。

「コミュニケーション力」を高めるには以下の2冊がオススメです。

大げさじゃなく人生を変える2冊です。

あらゆる自己啓発本の原点とも言うべき本書は、1937年に初版が発行されると瞬く間にベストセラーとなり、累計で1,500万部を売り上げた。『How to Win Friends and Influence People』は初版の発売当時と同じように今日でも十分通用する内容となっているが、その理由は、著者のデール・カーネギーが決して変わり得ない人間の本質を理解していたからに他ならない。

Amazon.co.jpより

 ▼

【史上初! 3年連続ビジネス書年間ベスト10入り】(2013年〜2015年。トーハン調べ)
【2013年ビジネス書ランキング1位】(紀伊國屋書店新宿本店調べ)
【2013年 6ヶ月連続ビジネス書1位】5月から10月まで、ビジネス書ランキング1位獲得! (日販調べ)

伝え方にはシンプルな技術があります。

Amazon.co.jpより

 ▼

セン先生

多くの関係者の「まとめ役」という話をしたけど、そのとき必要なのが「マネジメント力」だよ。

複数人のグループや団体、会社という単位で成果を上げるときに必要な能力です。

学生の方に身近な例でいうと、

  • グループ課題
  • 後輩をお手伝いに呼んだとき
  • 研究室でプロジェクトに取り組むとき

こうした際にも必要になります。

マキ

独立して自分の事務所を持つ場合にも必須ですね!

オススメは以下の本です。
シリーズものですが、この②だけでも大丈夫です。

ベストセラー『ビジョナリーカンパニー』の著者が7年ぶりに書き下ろす 飛躍企業11社の秘密!!

飛躍を遂げた企業11社をそれぞれの業種で競合関係にある企業と詳細に比較・分析。飛躍する企業やその経営者の特徴を解説している。

Amazon.co.jpより

 ▼

こうした洞察力が設計者には必要です。

ただ目の前の情報を眺めているだけではなくて、常に深読みするクセをつけておくと良いと思います!

これも他の多くの能力と同じく「読書」で身につきます。

➡︎ 本質的な内容を学べる建築本100冊リストはこちら

与条件を踏まえた上で、プランニングをする能力。

あるいは

コスト・法規・スケジュールといった現実的な制約を把握し、全体を俯瞰しながらコントロールしていく能力。

こうした「調整力」が建築家には必要です。
石上純也さんも「設計は調整がほとんど」というようなことを雑誌の記事で仰っていました。

地味な能力のように思えるかもしれませんが、この力あってこそ華やかな設計ができると思います。

設計をしていると、何十回、何百回、もしかしたら何千回もの選択をしなければなりません。

もうあげたらキリがないくらいに決めることがあります。

皆さんご存知の設計課題のときもそうですよね。

➡︎ エスキスの進め方やコツはこちら

セン先生

一つ一つの小さな判断の積み重ねで大きな変化が生まれるよ。

最後は「体力」です!

おそらく皆さんも課題やコンペで徹夜をしたことがあると思いますが、半端なく体力を使いますよね…。

活躍されている建築家の方々を見ていると、みんなエネルギーに溢れています。

食生活を整えて、適度に運動しましょう

すべての意匠設計者にとって大切な能力を紹介しました。

設計力が最も重要ではありますが、それ以外の能力に欠けているのは大きなディスアドバンテージになってしまいます。
せっかく設計力を鍛えていても、思ったようにその能力が活かせないのは勿体無いですよね。

「〇〇力」12選を頭の片隅に置いて、意識的に成長できるようにしておけば、社会に出てから活躍できる可能性が高まります

ではでは。

designfarm_banner_12-19
当記事の内容