【意匠建築学生向け】「センス」は誰でも身に付けられる|具体的な方法を徹底解説

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そんなふうに思ったこと一度はありますよね…?

「センスは生まれ持ったものだから…どうしようもないじゃん。」
そう考えている人がほとんどだと思います。

でも実は、「センス」は身に付けられるものです。

今からでも「センスの良い人」になることができます。

それを私に教えてくれたのは、この本です。

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有名な本なので知っている方も多いかもしれませんね!

この本にはとても勇気をもらいましたし、大げさでなく人生を変えてもらいました。

建築学科に入学した当初は、建築にもデザインにも芸術にも関心がなく、相当無頓着な部類だったと思います。
自分はこの本を読み、信じて実践した結果、在学中設計課題の通算成績は学年1位となり、最大手の設計事務所に入ることができました。
いまでも自分にものすごいセンスがあるとは思っていませんが、有難いことに時折「センスがある」と言ってもらえるようになりました。

当記事はこの本の内容を「建築」に寄せて、特に「建築学生」にとって有用になるように書きました。

これまでの記事やinstagramの設計力を上げる方法の総まとめ記事です。体系的に学べます。

進路を迷っている建築学生必読。徹底的に組織設計事務所について解説!

1000冊以上読んだ私がつくりました。ここから選べば間違いありません。

課題中盤~後半に活用すれば評価アップ間違いなし。

当記事の内容

「センスのよさ」とは、数値化できない事象のよし悪しを判断し、最適化する能力である。

センスは知識からはじまる/水野学

「かっこいい」
「きれい」
「良い感じ」

そうした数値化できないものを適宜判断して最適な答えを出す能力、それが「センス」であると、この本では定義されています。

これを建築に置き換えると「センスの良い設計」とは、置かれた条件の中で「かっこいい」とか「きれい」とか「良い感じ」というのを最適化した設計ができる能力となります。

誰でも子供の頃は
「大胆な色使いな絵を描いたり」
「大声で歌を歌ったり」
していたと思います。

それが小学生・中学生・高校生と進むにつれて、授業で点数が付いたり、
他の人と比べられるうちにほとんどの人は
「自分にはセンスがない…」
と自信を失っていきます。

やがてほとんどの人は「センス」を発揮することすらしなくなります。
本当は、それぞれに個別の「センス」を持っているはずなのにです。
学年が進むにつれて、多くの人は「センスとは無縁だ」と思うようになってしまいます。

建築を学び始めて設計課題が始まると、多くの人がこのような状態に陥ると思います。

でも評価されないことを恐れて、自分の「センス」を押さえつける必要はありません。
というより建築には「デザイン」や「芸術」要素が含まれていますので、設計者の「センス」は必要不可欠です。

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もし自信がなくとも、「センス」は身に付けることができますのでご安心ください!

「センス」は一部の特別な人だけのものとして考えられていると思います。

芸術的な絵
美しい写真
奇跡的な造形
   
「そんなもの自分に生み出せるはずがない」と。

たしかに世界のトップに立つような「センス」を身に付けられるかどうかは証明しようがありません。
でも少なくとも、国内の上位数%に入るレベルであれば、必ず身に付けられると考えています。

「センス」とは直感的なものであると思われるかも知れませんが、直感とは「脳内で瞬時に行われる、判断の束」なのです。

つまり、頭脳を鍛えることは、その頭脳が導き出す「直感=センス」を鍛えることになるのです。

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技術がピークを迎えるとセンスの時代がやってくる

センスは知識からはじまる/水野学

歴史を眺めてみると、技術が劇的な進化を遂げるとセンスの時代が来て、しばらくするとまた技術の時代がやって来るという“サイクル”が感じられます。

センスは知識からはじまる/水野学

IT革命によって、人類はものすごい発達を遂げました。

ここまでくると、技術の向上は頭打ちになります。劇的な技術進歩が起きにくくなっています。
少し前までは「技術的にスゴい」ということ自体が提案になっていましたが、そこで勝負することは難しい状況です。

だからこそ「どうつくるか?」から「なにをつくるのか?」に論点が移行し、それこそ「センス」が求められる時代なのです。

技術向上で数値を追っていた時代から、数値化できないセンスを求める時代に入っているのです。

センスとは知識の集積である。これが僕の考えです。

センスは知識からはじまる/水野学

知識というのは紙のようなもので、センスとは絵のようなものです。
紙が大きければ大きいほど、そこに描れる絵は自由でおおらかなもになる可能性が高くなっていきます。

センスは知識からはじまる/水野学

設計することをイメージしましょう。

結果は明らかですね。より多くの素材を知っている方が良い設計ができる。
これは事実だと思います。

例として素材を上げましたが、より多くの知識を持っている方が、センスの良い設計をできるというのは事実です。

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アウトプットの前段階においては、知識にもとづいた方向性の決定が大切だということです。

センスは知識からはじまる/水野学

「画期的なアイディア」や「新しいアイディア」を生み出すためには、過去のあらゆるものを知識として蓄えておくことが大いに役立ちます。

あらゆるものには、画期的でも、新しくもない「なんでもないもの」や「むしろ良くないもの」も含みます。
過去のあらゆるものの知識があることで、アイディアの方向性をある程度定めることができるとのことです。

例えば、「住宅」を設計しようとしたときに過去の事例を100個知っていれば、

といったように、ある程度の目処をつけることができます。

知識があれば、先人たちの積み上げて築いた山の上に立ち、遠くを見渡すことができます。

センスとはつまり、研鑽によって誰でも手にできる能力と言えます。決して生まれつきの才能ではないのです。

センスは知識からはじまる/水野学
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  1. 「王道」を把握する
  2. 「最前線」を知る
  3. 「ルール」を探る

「王道」を建築分野で言い換えると

になると思います。

①良いとされている建築は以下の GA japan 163169を読むのが良いでしょう。
この2冊で日本の主要な建築をかなり網羅することができます。
必ず買って手元に置いておくべき号です。

②定番の設計内容新建築住宅特集を20~30冊読むことで知ることができます。
大変かと思うかも知れませんが、このくらいは最低限のラインだと思います。

図書館などで読み、特に気になるごうがあったら購入して手元に置いておきましょう。

両雑誌とも網羅性が高く、幅広く・多くの事例を知ることができます。
ある程度の冊数読んでいると、定番が感覚的にわかってくると思います。

③長い期間語られている建築家は以下の記事にまとめましたので、ご一読ください。
建築学生であれば必ず知っていないと恥ずかしい建築家のみ紹介しています。

必ず知っておきたい、建築学生が学ぶべき超有名建築家12組を紹介【日本編】

「王道」を把握したら、次に「最前線」を知ることを行います。

「王道」がある程度の期間を経て定着したことに対して、「最前線」にあることは一過性のものであることが高いですが、未来を垣間見れる可能性もあります。

「王道」と「最前線」の両方を知っておくことで、過去・現在・未来を捉えた知識を得ることができます。

「最前線」を知るためには、GA japan Casa BRUTAUS の新しい号をチェックしましょう。
建築はそこまで移り変わりが激しいわけではないので、直近1~2年くらいの号に目を通せれば良いと思います。

非常に良くトピックスがまとまっており、精査された情報のみが掲載されています。

インターネット情報やSNS情報の方が即効性は高いですが、情報の質で言うと雑誌とはかなり差があるように思います。

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自分はインターネット情報やSNS情報よりも、圧倒的に雑誌派です。

いよいよ第3段階です。

第3段階は、分析や解釈のフェーズです。

「王道」「最前線」の知識が身に付いたら、その中から「ルール」を自分なりに探りましょう。

それらに共通する「ルール」は何か?
知識のない状態であれば見当も付かなかったでしょうが、知識がついていれば見出せるものがあるはずです。

いろんな角度から「ルール」を探してみましょう。
「センス」が知識の集積である以上、「センスが良いことの理由」は必ず説明できるはずです。

「センスの良い建築」というのであれば、以下の本が参考になります。
※この本の内容が答えというわけではありません。あくまでも一意見として、自分の分析の参考程度に読みましょう。

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「感覚的に、これがいいと思うんです。」は禁句。かっこいいから、かわいいからといった漠然とした表現も一切しません。

センスは知識からはじまる/水野学

感覚とは知識の集合体です。その書体を「美しいな」と感じる背景には、これまで僕が美しいと思ってきた、ありとあらゆるものたちがあります。

センスは知識からはじまる/水野学

「ルール」を見いだせたら、あとはその精度を高めるのみです。

例えば、「気持ちの良い空間」について3人が感想を述べたとしましょう。

Aさん:「天井が高くて気持ちが良い」
Bさん:「平面の広さに対して、天井が高いから気持ちが良い」
Cさん:「平面が4,000mm角に対して、天井高さが3,000mm以上あり、天井が視界に入らないで気持ちが良い」

この3人では、得られた「知識」の精度が全く違いますよね。

同じような設計をしたとしたら、精度の高いCさんが最もセンスの良い設計をすることは明らかでしょう。

感覚的なことでも、言語化の努力をすることで「センス」の精度が高まります。

「センス」は、思いのほか言語化できます。

多くの人がこれを怠りがちですが、それは大変な機会損失です。

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ここからは、「センス」の磨き方の具体例を紹介していきます。

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「知識」の収集には客観性がとても大切です。

好き嫌いの感想だけを述べていても、その人の現状のセンスの範囲内から抜け出せません。

好き嫌いといった主観的な感想は一旦置いておきましょう。

「〇〇の店舗の内装がかわいくて好き」

ではなくて、

〇〇の店舗のスケール感、素材、動線、明るさ…、そういった具体的な部分を客観的に把握するようにしましょう。

「〇〇の店舗は、こじんまりとしたスケール感で親しみが湧き、内装材は手触りの良い素材感になっている。視線があえて抜けないようになっていて、散策するような動線計画になっている。少し明るさを抑えてあり長居したくなるような空間になっている。」

こうしたように、具体的に、客観的に情報を収集できるようになりましょう。

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思い込みは「知識」に偏りを生み出し、しかも無意識なのでやっかいです。

その思い込みを取っ払うには、普段と違うことをすること。
オススメは以下のことです。

こうしたことを定期的に行うことで、視野が広がり客観性も増します。

新しい領域に初めて関わるとき多くの人は拒絶しがちですので、全てを受け入れる気持ちを持って臨みましょう。

無意識の思い込みを、意識的に取り払いましょう。

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水野学さんは、知識を吸収して自分のものにするためには「感受性」と「好奇心」が必要だとおっしゃっています。

感受性

外界の刺激・印象を受けいれる能力。物を感じとる能力。

好奇心

珍しいことや未知のことなどに興味をもつ心。

この2つを手に入れるには、自分をコントロールして、普段から意識するしかないのかなと思います。

アンテナを張って色んなものに関心を示し、新しい物事に触れたときは拒絶せずとにかく受け止める。

この流れを日常化できたとき、自然と知識は増えていくとのことです。

「センス」は生まれ持ったものではなく身に付けられる。

これは多くの人にとって救いになることではないでしょうか。
自分にとってもそうでした。

一方で「センス」は頑張れば身に付くのだから、
「センスがない」というのは「≒努力が足りない」ということです。

もう結果が出ないことを「センス」のせいにはできませんね。

あとは努力あるのみです!

sen

一緒に頑張りましょう!

最後に、もう一度本のリンクを載せておきます。

プロフィール

senのアバター sen 読書好きの建築家

建築家を目指す建築学生に役立つ情報を発信中です。
大学・大学院ともに建築学科を卒業。
卒業後は日建設計に入社し数年間勤務。
設計者として独立。

たまにInstgramで質問コーナーをやっています、
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