■ 建築って何を学ぶの?
■ 大学ではどんな授業があるの?
■ 結構大変だと聞くけど…
■ 雰囲気は?
建築学科は理系の中でも特徴的な学科だと思うよ。
なんか変わった服装の人がいたり、大きな模型を作ったり、いわゆる理系のイメージとは違うよね。
建築学科は
● 変人が多い
● めちゃくちゃ忙しい
● 先生が厳しい…
巷には色んな噂があるかと思います。笑
当記事では建築学科OBである自分が、「建築学科とはどんなところなのか?」をできる限りイメージしやすく説明します。
◯ 建築学科の受験を考えている方
◯ 合格して入学を控えている方
に読んでいただければ、今よりも断然はっきりとイメージが湧くはずです。
建築学科の先輩として教えていくね!
「建築」や「建築学科」には魅力が溢れていますので、
それが少しでも伝わると嬉しいです。
※この記事は、私が通っていた大学での経験を元に作成しています。学校によって内容は変わりますので、その点はご留意ください。詳しいカリキュラム等の内容は、各学校のホームページ等でご確認ください。
これまでの記事やinstagramの設計力を上げる方法の総まとめ記事です。体系的に学べます。
進路を迷っている建築学生必読。徹底的に組織設計事務所について解説!
1000冊以上読んだ私がつくりました。ここから選べば間違いありません。
課題中盤~後半に活用すれば評価アップ間違いなし。
「建築」には様々な分野が存在する
ひとえに「建築」といっても、その中でいくつもの分野に枝分かれしています。
それぞれに専門性が高く奥深いものです。
ひとえに「建築」といっても、その中でいくつもの分野に枝分かれしているよ。
それぞれに専門性が高く奥深いものですよね。
建築学科に入ったからといって全分野を完璧に習得できる人はいないよ。
建築にはこんなに多くの分野があるのか!って驚いたよ。
入学当初は広く浅く学んでいき、学年を追うごとに徐々に希望の分野を選択していくという流れです。
大学生であれば、おおよそ4年生になる前には専門分野が確定しています。※授業内容は後述します。
どの専門分野に進むか入学前から考えておく必要はありません。
授業を受けながら2〜3年掛けて選んでいけば大丈夫です。
入学前は「建築」のことを知らなくても問題ない
心配に思われる人も多いと思うけど、入学前は「建築」の知識がなくても問題ないよ。
僕の周りも、そこまで知識があるひとは少なかったと思うな。
もちろん入学前に建築家の名前を調べたり、雑誌を見て勉強しておくことはプラスになるから、もし時間があればやっておこう。
この記事を読まれている時点で、既に同級生よりも一歩先を行っていると思いますよ!
初期は建築について広く浅く学ぶ
入学してから最初の頃は、〈計画・構造・設備〉などの幅広い分野に触れることになります。
一般的な理系の分野と異なるのは、デザインや芸術にも関わりがあることかなあと思います。
そうそう。建築って理系に分類されているけど、なんだか理系/文系っていう括りでは語れないと思うんだよね。
いわゆる文系の文学、歴史、哲学、社会学なんかとも関わりがあるしね。
結局は、いずれかの専門分野に進んでいくことになりますが、1つの建物を建てるには他分野と共同することになりますので、初期段階で幅広く学んでおくことは意義があると思います。
学年を追うごとに専門化
私は、大学3年生から「選択科目」といって複数ある中から好きな科目を選択する、というシステムがありました。
この選択によって多くの学生が、自分の進路を意識し始めます。3年生になると、進む分野を既に決めている人もちらほらあらわれます。
学部4年生になると研究室(ゼミとも呼ぶ)に所属することになり、その研究室の教授の専門分野にあった論文を書くことになります。
研究室に所属すると進むべき専門分野が確定します。(編入など、特殊なケースもありますが)
意匠系の研究室に入りたいんだけど、ちょびっと心配もあるんだよね…。
進路選びは心配もあるよね。入学したら、自分が進みたい進路についてじっくりと考えよう!
進路を選ぶ上で、学校の教授も大切な要素ですよね。
建築学科の授業内容
建築学科の主な科目
建築学科に入ると、計画・構造・材料・設備・歴史・施工といった授業があります。
これらはおそらくどの学校でも共通でしょう。
その他に、1〜2年生の頃は「一般科目」といって、いわゆる高校の時に勉強していた「数学」や「物理」などの科目もあるのが一般的です。
簡単に各科目の概要を示しますと
■ 計画:プランニングの観点から、住宅・オフィス・公共施設といった建物について学びます。
■ 構造:建物がどのような力を受けるのか、どれに対して安全性をどう確保すのかを学びます。
■ 材料:講義や破壊試験をするなどして、コンクリートや鋼材などの重要な材料の性質を学びます。
■ 設備:音響や採光などといった、建物の環境に関わることを学びます。
■ 歴史:日本建築史、世界建築史、保存活用といったことを学びます。
■ 都市:都市計画の観点から、広域スケールのデザインなどを学びます。
■ 設計課題:特に重要なので後述します!
今はリモート授業なども増えているようですが、これらの授業に出席し、レポートやテストを乗り切るのは非常に大変です…。
これは他の学科にもいえることだと思いますが、単位を落としすぎて留年する人も。
特徴的な「設計課題」の授業
建築学科といえば、なんといっても「設計課題」だよね!
「設計課題」は最も時間を使う部分でもあり、私にとっては最も楽しい授業です。
建築学科がものすごく忙しいと言われる原因はこの「設計課題」だよね!
「設計課題」とは何かを説明していくよ。
例えば下記のようなお題が出されます。
アーティストのご夫婦と、その子供が住むための住宅を提案しなさい。
敷地は◯県の郊外に位置する。周囲は木々で囲まれているので、それらを生かす計画とすること。
その他、自由に発想し提案すること。
敷地図が別紙とする。
敷地面積:◯◯㎡、床面積:○◯㎡以下、高さ:◯m以下
このようなお題に沿って、学生それぞれが「風の抜ける家」とか「風景を取り込む家」のようなコンセプトを独自につくり、最終的には図面・パース・模型などを駆使して自分の設計案のプレゼンを行う、という課題です。
ただ、いきなり学生が設計案を作れるはずもないので、途中経過をサポートしてくれる担当講師が付きます。
この担当講師の方に「週1で案を見せ、意見をもらい、修正してまた翌週見せる。」というサイクルを繰り返すことになります。
週一で案を見せるというのが、かなり体力を使うのです。
ちなみに、この週一の案見せを「エスキス」と言います。
入学すると頻繁に口にする言葉です。
「エスキス」という単語は以下の記事で詳しく解説しましたので是非ご覧ください。
⇒建築設計の「エスキス」とは何か?
始めると徐々に分かってきますが、「設計課題」には、論理的な思考力、自由な発想力、プレゼン力、などなど多岐にわたる能力が必要となります。
高校までに勉強してきたような科目とは一味も二味も違うよね!
この難関を楽しむことができるかどうかが、後々の進路の大きな分かれ目となるよ。
建築学科に入ってからの勉強法は、いわゆる学校の試験勉強とは異なります。以下の記事をご覧下さい。
⇒【建築学生が学ぶべきこと】設計力が上がる勉強方法を現役設計者が解説
設計課題以外の個性的な授業
学校によっては、個性的な授業があるというのも建築学科の特徴です。
「ピクニック課題」や「自分の部屋を改造せよ」などの変わった課題がいくつかありました。
その名の通り、ピクニックをする課題です。笑
10人程度のチームに分かれて、場所や地面に敷くもの、料理や場所のトータルデザインを行います。
最終的には、実際にピクニックを行ない、講師をそこに招いて採点してもらうという内容です。
こちらもその名の通り、自分の部屋を改造するという課題です。笑
布や紙や様々な材料を使って、部屋を全く別の空間に変身させます。
模様替えとかそんなレベルではなく、元の部屋の原型が分からないくらいに改造します。笑
(※現状修復できるようにはしておきます)
学校によってバラバラな授業内容ですが、理系の中でも教授も生徒も自由でユニークな風潮というのが建築学科です。
建築学科の雰囲気は一風変わってる?
建築学科はどんな雰囲気か、特徴を上げたいと思います。
- デザインや芸術への関心が高い人が一定数いる
- 主体性が求められる
- 建築の議論が活発
- 理系の中では女性率が高め(3〜4割)
- 理系の中では服装に気を使っている人が多い
一言で表すと、「理系の学者気質な雰囲気」と「芸術の独創的な雰囲気」の両方を併せ持っているのが建築学科だよね。
デザインや芸術への関心が高まる
建築は「工学」だけでなく、同時に「デザイン」「芸術」分野でもあります。
プロダクトデザインや彫刻など、他分野と通ずるものが多く見出されるので、自然と関心は「建築」以外の分野にも広がります。
そうすると自然と「デザイナー」や「芸術家」の名前を覚えますし、主たる展示会やイベントにも参加することもあります。
入学後に興味が湧いてくる人がほとんどなので、入学前に関心がなくとも大丈夫です。
建築以外の分野を学んだことが、結果的に建築に活きますよね。
建築学科は主体性が求められる
入学して建築を勉強し始めると、学校の授業にただ出ているだけでは成長が遅いことに気付きます。
「設計課題」で成果を出すには自主学習が重要で、どれだけ本を読んだり、建築を見に行ったりするかに掛かっています。
授業に出席して提出物を出せば最低限単位はもらえるかもしれませんが、「設計課題」で上位者になることはあり得ません。
課題以外にも自分達でワークショップ(体験型イベント)を立ち上げたり、建築サークルを作ったりと、活発的な人が多くいます。
ぼーっとしていると周りに置いてかれてしまっている…!なんてことになりかねないよね。
何をするかは学生自身が判断することだから、学生自身が主体的に動けるかが大切だよ!
建築学科に入ってから、どのように活動すると良いかは以下の記事を参考にしてください。
⇒【同級生と差がつく】建築学生の過ごし方ガイド
建築トークが活発
「建築」って奥深いから、熱く議論している学生が多くいるよね!
「建築」には明確な答えがないからプロですら意見が分かれるんだ。
講師同士の方の意見が対立しているのを見ることもあります。それほど難しいし、だからこそ面白いってことですね!
時代によって「これが答えだ」といえる思想が登場することもありますが、数年後には別の思想が現れ、それが繰り返されて塗り変わっていきます。
このことは、建築史を学ぶとわかってきます。
建築史を知らないと、過去と同じ過ちを繰り返すことになります。
たまに建築史を知らないのが露呈してしまっている学生の設計案を見ることがあります。
明確な答えがないからこそ、「建築」の議論は至る所で行われます。
一筋縄ではいかないからこそ、探求しがいのある面白い学問だと思います。
そうした議論ができ、「建築の理解」を一緒に深め、切磋琢磨できる友達を見つけましょう。
理系の中では女性率が高め(3〜4割)
男性比率が高いことには変わりませんが、理系の中ではまだ比較的女性比率が高い学科です。
そのため、理系の他学科から羨ましいと思われる傾向にあります。(余談ですが。)
理系の中では服装に気を使っている人が多い
派手な服装の人も中にはいるので、理系のキャンパスの中で一部の建築学生は服装が目立ちます。
コムデギャルソン や ヨウジヤマモト といったモード系を着ている人が、だいたい各学年にいます。
いわゆるオタクっぽい服装の人はそんなに多くはないです。
まとめ:建築学科では得意な部分をつくって勝負!
建築学科の楽しい部分も、大変な部分も、両方お伝えできたかと思います。
■「建築」といっても、その中にはいろんな分野がある
■ 特に特徴的なのは「設計課題」で、一番大変だけど、一番楽しい
■ 建築学科はデザインや芸術的な側面があり、理系の中でも特徴的
「建築」や「建築学科」に魅力を感じていただけたら嬉しいです。
もしかしたら、「果たしてやっていけるだろうか?」と不安に思われた方もいるかも知れません。
そこで最後にお伝えすることは、「建築」の懐の深さです。
前半部分で、「建築」の中にもいろんな分野があることをお伝えしたかと思いますが、つまりそれは人それぞれ得意な部分を伸ばして勝負できるということ。
デザインでも、構造でも、都市計画でも…、個人の向き不向きや、好きかどうかで、進むべき道を選べば良いと思っています。
同じ「建築」という世界ですが、どの分野に進むかで全くやることが異なります。
そして、その全く異なる分野の人達が再び集まって「一つの建築が生まれる」というのも面白さだなと思います。
建築学科に入学してもまだまだ広い世界が広がっていますので、期待を胸に抱きながらお待ちください!
ではでは。