建築や設計課題の「コンセプト」とは?実は大切な用語解説

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セン先生

建築の人が当たり前のように使っている「コンセプト」という単語だけど、
実はいまいちその意味や役割がわかっていない…。って人も多いんじゃないかな?

タテル

そうなのかな?良く使う言葉だし分かる気がするけど…。

セン先生

そうしたら、次の2つの質問には答えられる?

タテル

う〜ん、改めて聞かれると…。

セン先生

この質問に自信を持って答えられる人以外は、ぜひこの記事を読んでもらいたいな。それほどに『コンセプト』って言葉は大切だよ。

タテル

やっぱ分かんないから、ちゃんと読む!

➡︎ コンセプトの作り方と事例紹介はこちら

「コンセプト」という用語に
疑問を抱いていないという人も多いでしょう。

実はとても奥が深い用語なんです。

初級者向けのように感じられそうなこの記事ですが、
上級者向けの内容も含まれています

コンセプトは強力な武器になると同時に「毒」にもなります。
設計を飛躍的に良くすることもあれば、陳腐なものにしてしまう可能性もあるんです。

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これまでの記事やinstagramの設計力を上げる方法の総まとめ記事です。体系的に学べます。

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当記事の内容
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コンセプトは直訳すると、「概念・観点・考え方」となります。

その通りですが、
私は「建築におけるコンセプト=仮説」だと捉えると、
しっくりくると考えています。

実際は紆余曲折ありますが、
ものすごくざっくりいうと設計の大まかな流れは以下の通りです。

ここでそれぞれ、

  • コンセプト立案 ➡︎ 仮説
  • スタデイ ➡︎ 実験
  • 最終的な設計案 ➡︎ 証明

というように言葉を当てはめるとイメージがしやすくなります。

仮説(コンセプト)を立てて、
実験(スタディ)して、
証明(設計案)する。

これがまさに設計の大筋です。

セン先生

仮説(コンセプト)はあくまでも「言葉」だから、それが実際に的を得ているかは判断できないよね。

タテル

だから具体的に実験をして判断する必要があるんだね。

セン先生

その通り!仮説(コンセプト)を具現化した証明(具体の設計内容)が素晴らしければ、結果的に仮説(コンセプト)は正しかった、ということになる。

タテル

なるほどなるほど。コンセプト=仮設っていう意味が良く分かった!

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セン先生

そもそもなんでコンセプトを立てると思う?

タテル

う〜ん…。なんで?

セン先生

たぶん疑問に思う人ってあまりいないんだけど、コンセプトが必要な理由を知っていないと、良いコンセプトをつくることもできないよ。

タテル

そう言われるとそうだよね。コンセプトってあるのが当たり前に思っていたから、考えたこともなかった。

セン先生

そうした人がほとんどだと思う。この記事ではコンセプトをつくる主な理由3つを紹介するね!

一つ目の理由は、
設計者が設計をしやすくするためです。

人間ですから、あまりにも複雑で曖昧なことは頭で理解しきれません。

そのため話をシンプルにして、分かりやすく言語化してまとめます。

言語化することで論理的に設計を進めることが可能になります。

このようなプロセスを経ないと、漠然としたまま直感のみに頼って設計することになります。

マキ

言語化しないと目標を見失いやすいですよね

二つ目の理由は、自分以外への説明のためです。

講師とのエスキス時や、講評会の時、あるいは友人に自分の案を説明するときには、コンセプトがないと説明することが困難でしょう。

稀に模型やパースが言葉以上に雄弁に語ることもありますが、設計した模型やパースのみでは、その意図が正確に伝わるのは難しいと思います。

三つ目の理由は、設計チームの考えに統一感を出すためです。

グループ課題では数人でチームになりますが、
さらに実務になるとその何倍もの人数でチームを組むということもあります。

人数が増えれば増えるほど、
それをまとめるのが大変になります。

そこで活躍するのが、「コンセプト」です。

コンセプトは、チーム全員が共通して目指すべき指針として活躍し、同じ方向を向かせてくれます。

セン先生

コンセプトを掲げるのも設計者の役割の一つだよ。

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セン先生

逆にコンセプトを立てることのデメリットもあるよ。

タテル

えっ良いことばかりだと思ってた。

セン先生

意識する人は全然いないけど、結構重要かつ設計の根本的な部分だから良く読んでね!

デメリットは以下の3つです。

  1. 話が単純化してしまう
  2. 言語化される部分に焦点が当たってしまう
  3. 設計がコンセプトに引っ張られてしまう
マキ

ちょっと上級者向けな内容ですね。

タテル

ついていけるかな…

コンセプトをつくることで話がシンプルになり、伝わりやすくなるということをお話ししました。

でも、実際の建物はそんなにシンプルなわけありません。

皆さんにも思い起こして貰いたいのですが、設計があっさりまとまったことってありますか?

ものすごく色んなことを、色んな角度から、あーだこーだと悩んだ結果の最終形ですよね?

設計課題でもそうですし、実務となればその何十倍も条件があって複雑です。

つまり、コンセプトとして話を単純化するということは、同時に多くのことを語らないということです。

コンセプトばかり追い求めると、多くの大切なことを失っていることに気が付かない可能性があります。

セン先生

コンセプトは決して「全て」を語っているわけではないから、勘違いしないようにしよう!

マキ

コンセプトは案の中心ではあるけど、全てではないということですね。

セン先生

うん。コンセプトに忠実であることは設計課題の評価につながりやすいし、基本的には目指すべきことなんだけど…。

マキ

目的はあくまで「コンセプトの表現」ではなく「良い建築を設計すること」ということでしょうか。

セン先生

うん、その通り!微妙に違うことなんだよね。

コンセプトは言語化(場合によっては数値化)されているわけですが、建築には言語化できない側面が多くあります。

コンセプトに偏重してしまうと、言語化できない部分がないがしろにされがちです。

言語化できるもの・数値化できるものが説得力を持つのは誰もが知るところです。

「○%のCO2削減に成功しました」

とか言われたら、とりあえず効果があったんだと頷いてしまいますよね。

けれども、建築の本質はむしろ言語化できない部分にあると思うのです。

空間の響き、彫刻的美しさ、原初的幸福感、などなど…。

コンセプトばかり追い求めると、多くの大切なことを失っていることに気が付かない可能性があります。(2回目)

セン先生

文章では立派なことを語っていても、実物はいまいちなことは沢山あるよ。

「良い設計のためのコンセプト」ではなく、「コンセプトのための設計」になってしまうパターンです。

「コンセプトの辻褄が合わないからこうしとくか…。」
「コンセプトが見えやすい計画にしておくか…。」

こんな風に考えた経験が、私は何度かあります。でもこれでは本末転倒だなあと、途中から思い直すようになりました。

セン先生

①と似てるけど、「コンセプトの表現」ではなく「真っ当に良い設計」を目指そう、という話しだね。

マキ

私も経験あります。非常に悩むところですよね。辻褄が合っていた方が説明しやすいけど、そうじゃない方が良い設計に思えるし…。

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コンセプトは強力な武器になると同時に「毒」にもなります。
と冒頭で書きました。

そのまとめとして、結局どうすればいいの?というのを書きたいと思います。

結論は、

「コンセプトに捉われちゃいけない。けど有効だから利用しよう。」

となります。

実際、コンセプトに忠実な方が、課題やコンペで評価される可能性は高いです。
コンセプトがはっきりしていたほうが、多くの人に理解してもらえます。
スキルとしては非常に役立つので、コンセプト立案はしっかりできるようになりましょう!

セン先生

最後に混乱するようなことを付け足すと、名作建築の多くはそもそもコンセプトとかどうでも良いくらいに魅力的だし、言語化できそうにないものが多いよ。

タテル

えええ、ここまで散々コンセプトについて説明してきたのに??

セン先生

ごめんごめん、でも本当のことで、名作建築を言葉にすると明らかに陳腐な説明になってしまうんだ。

タテル

そんな…。せっかくコンセプトを頑張ってつくろうと思ってたのに。

セン先生

それにしても現状は「コンセプト」っていう強力な武器は使えた方が良いことは確かで、それが完全にマスターできたら次のステップに進もう。

タテル

コンセプトなんていらない!って言えるのは、コンセプト作成をマスターしてからか。まだ先の話しなんだね。

名作建築の例としては、近現代建築の頂点ル・コルビュジェをあげれば十分でしょう。

「ロンシャン礼拝堂」や「ラ・トゥーレット修道院」を見ると、コンセプトなんてどうでもよく思えてきます。

(↑知らない方は調べてみてください)

コンセプトの意味が理解できたら、実際に自分で考えてみましょう!
以下の記事で具体的にコンセプト作成方法を解説していますのでご覧ください▼

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ではでは。

プロフィール

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建築学科を卒業して、国内最大手事務所で働いていたらしい。現役建築家。
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