◼︎ 建築雑誌を読むのは大切?
◼︎建築雑誌ってどれを読めば良いの?
◼︎適した読むペースや読み方は?
建築雑誌は、設計課題で評価を得るための最良の参考書になります。
私は在学中、設計課題 全13回中、12回優秀賞(全体講評進出)を取ることができました。
しかし、決して自分に建築の才能があったというわけではありません。
授業以外の時間はなるべく図書館に行き、ひたすら何十冊・何百冊もの雑誌にかじりつき、必死にインプットしたことが結果につながったと思っています。
この記事では、学部・大学院の6年間で辿り着いた、確実に『設計課題のレベルが上がる』雑誌の読み方を紹介します。
決して楽ではありませんが、この記事の内容を実践すれば設計課題で上位者に入るために必要な「建築の理解度」や「設計の引出し」が手に入ります。
やみくもに雑誌を全部チェックするのは大変すぎるよね …
これまでの記事やinstagramの設計力を上げる方法の総まとめ記事です。体系的に学べます。
進路を迷っている建築学生必読。徹底的に組織設計事務所について解説!
1000冊以上読んだ私がつくりました。ここから選べば間違いありません。
課題中盤~後半に活用すれば評価アップ間違いなし。
建築雑誌を読む必要はあるのか?
こうした疑問を持つ方もいるかも知れません。
自分の考えは
意匠学生であれば、建築雑誌を読むことは必須です!
読みまくりましょう。
本当に、絶対に、沢山読んだ方が良いです!
建築雑誌を読むと得られる情報には以下のことがあります。
- 良いとされている建築事例を多く知ることができる
- 多くの建築家の設計意図を知ることができる
- 様々なアイディアを知ることができる
- 図面と写真をセットで見ることができる
⬇︎⬇︎⬇︎そうすることで身に付く能力は…
- 建築事例を知ることで、目指すべき方向性が見えてきます。
- 雑誌の文章を読むことで、その建築家がどんな設計意図を持って設計したかを知ることができます。
- 形や素材の使い方、その他諸々のアイディアを知ることで、それらを組み合わせたり、アレンジして自分の引出しにすることができます。
(※真似すればいいや、と安易な考えを持つのはやめておきましょう。) - 図面と写真を行き来しながら確認することで、どのように図面を書けば、最終的にどんな建築になるのか、イメージすることができます。
雑誌は学校の図書館や研究室に揃っていると思うので、
簡単に手に取れるのも良いところです!
代表的な建築雑誌の種類と概要
建築雑誌には多くの種類があります。
ここでは、学生向けという観点で抜粋します。
それぞれ雑誌名をクリックするとページに飛ぶことができます。
以下の雑誌の名前は最低限知っておきましょう。
- Casa BRUTUS
建築、住宅、インテリアを中心に、デザイン、アート、食、ファッションまで最先端に網羅。
(HPより抜粋) - 新建築
日本の現代建築を写真、図面等により詳細に紹介(HPより抜粋) - 新建築住宅特集
住宅を、建築としての切り口、住まい方への提案などから写真と図面で紹介、解説(HPより抜粋) - a+u
海外の建築情報を伝える日本唯一の月刊誌(HPより抜粋) - 商店建築
毎号最新の店舗デザインを紹介(HPより抜粋) - 住宅建築
「文化としての住まいを考える建築専門誌」を刊行スタンスとする隔月刊誌(HPより抜粋) - GA JAPAN
日本の新しい優れた現代建築のエッセンスを発信する隔月刊誌(本誌より) - GA DOCUMENT
現代建築の完全な記録を目指し、独自の視点から新鮮な情報を世界に向けて発信する建築専門誌 - GA HOUSES
世界各地の住宅を現地取材してゆくGAのシリーズ - EL Croquis
スペインの建築雑誌。世界のトップアーキテクトのみが特集され、大判(240×320)で写真が美しい
特に要チェックはこの3誌!
数多くの雑誌がある中で、自分は特に以下3誌を頻繁に活用していました。
- GA JAPAN
- 新建築(新建築住宅特集)
- EL Croqu
雑誌を有効活用すれば、建築の最良の参考書となります。
正直、雑誌を読まずに設計ができるようになることは考えにくいと思います
GA JAPAN は建築の理解度向上に役立つ
日本の新しい優れた現代建築のエッセンスを発信する隔月刊の建築専門誌。
本誌より
建築思想、理論、哲学、技術思想を多面的に照射しつつ、建築の本質に迫る本格的建築総合誌です。
自分が最も信頼している本格的建築雑誌です。
建築設計の本質的なトピックのみが扱われているので、ぜひ読み込みましょう。
【初級向け】
1年に1度の特集号「総括と展望」を中心に手に取ると大きな流れがわかります。
→これら号です
[GA168][GA162][GA156][GA150][GA144][GA138][GA132][GA126][GA120][GA114]
【中級向け】
とにかく1冊でも多く読みましょう。
正直、どの号を読んでも非常に勉強になる雑誌ですので、単純に量を読むことが結果につながります。
大切な部分・気になった部分にはマーカーを引いたり付箋を貼ったりしましょう。
図書館の本の場合は、コピーを取ってファイリングしておくと良いと思います。
【超本気の方向け】
かなりハードな読み方です。
「1号」から順番に読みましょう。
1号は1992年に発行されたので、そこから号を追っていくと、現代建築の流れを早送りで見るように、リアルに感じることができます。
完璧に全ての記事を読まずとも良いので、適宜抜粋しながら号を読み進めると、実感を持って現代建築の流れを理解できます。
これを実践できれば、間違いなく建築理解度は〈学年トップレベル〉です。
近年のGA JAPANAは文章量が多く全てに目を通すのは大変なので、
まずは気になるトピックだけでも良いと思います。
新建築(新建築住宅特集)は情報収集に役立つ
網羅的に作品が掲載されており、データベース的な役割を担っています。
新建築は日常的に目を通す他に、物件情報を網羅的に集めたいときに役立ちます。
例えば
- 設計課題で「小学校」が出題されたとき。
⇨ 数年分に目を通して、小学校事例だけコピーして分析するといったことを実践していました。 - 「屋根」に特徴のある設計をしたいなと思ったとき。
⇨ 数年分に目を通して、屋根に特徴のある建築をピックアップして、その設計意図などを分析しました。
このように、プログラムやエレメントに注目して、一気に物件を集めたいときに活躍します。
情報収集は1〜2年程度だけではなく、5〜10年分は頑張って集めてみましょう!
建築は作るのに数年掛かるためサイクルが遅く、5年前や10年前の建築でも時代遅れとか、そういったことは全然ありません。
自分にとって特に得るものがない物件も載っているので、
全ページを見る必要はないです。
EL Croqu は海外建築の感動を味わえる
「エルクロ」と良く呼ばれる建築雑誌です。大判で写真がものすごく良い雑誌です。
知っている限り、最もクオリティの高い海外の建築写真が掲載されている雑誌です。
いくら理論を理解していても、最終的には実物が全て、というのが建築です。
「エルクロ」の建築写真は、「空間の特徴」や「空気感」が見事に映し出されているように思います。
すごく視覚情報が詰まっているので、1枚ずつじっくりと時間をかけて読み込んでいきましょう。
文章もありますが、日本語じゃないので自分は読んだことがありません。笑
電子書籍版はお買い求めしやすい値段ですよ
補助的に用いるのはこの2誌
上記の雑誌がメインですが、さらに幅を広げたいのであれば、以下2誌もチェックしましょう。
GA DOCUMENT で海外の現代建築の動向を確認する
a+u で特定の海外建築家を深掘りする
まとめ:建築雑誌を読めば、設計に必要な能力が身に付く
建築雑誌を有効活用すれば、建築の最良の参考書となります。
理想をいうと頻繁に目を通す号は手元にあるのが良いですが、全てを買い揃えるのは難しいので、図書館や研究室なども活用していきましょう!
一朝一夕ではありませんが、ご紹介した雑誌を地道に読んでいけば、設計に必要な「建築の理解度」や「設計の引出し」が身に付きます。
一冊一冊の積み上げが、大きな結果につながります